フジセーヌ・フランコフォン

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2019年   月は見ていた

                     
  
フランスで活躍するジュリアン・デルメール氏作品、彼は詩人、作家で、スラムの語り手でもあります。スラムとはポエトリー・リーディング、詩の朗読のことです。ラップもポエトリー・リーディングの一種、音楽とともに語られる詩の朗読と言えます。
 詩集:Le Mur s'efface 2007
        Bogolan 2015 
    Rose Pirogue 2016 
 小説:Georgia 2013
        Frère des Astres 2016 
          Minuit Montmartre 2017

    右:トークショーの様子 

 ちょうど日本に滞在していたアメリカのノースカロライナ大学からの学生グループが見に来てくれました。演劇を学んでいる学生さん達で、先生とコーディネーターの引率であちこちで舞台を見ているとのこと。日本語、フランス語がわからないにもかかわらず、とても反応がよく、今回から始めたトークショーでも色々質問してくれて、盛り上がりました。

あらすじ: 蝶採集家のエジェシペはある日、城壁を超えた森の奥深くで珍しい種類の蝶を見つけ、時間を忘れて夢中になっているうちに日が暮れてしまう。そこは文明から遠く離れた恐ろしいノーマンズランドだった。そこへフィデルとバティストがやって来る。彼らは頭蓋骨の収集屋だ。エジェシペに危険が迫っていた。
   時代設定が不明な中、放射能の汚染や、城壁で区切られた環境、分断された人々などから、核戦争後の近未来とも思わせる。追い詰められた底辺の人々に救いはあるのか・・・。

出演者(登場順)

ドミニク・ピーカ:エジェシペ 
ルイ・フィエベ:フィデル
セドリック・ワティン:バティスト
ルイ・ソロ・マルティネル:父親
白鳥加奈子:歌手   

2017年   マクベスとレディ・マクベス

                     
  
シェイクスピアの「マクベス」をベースに、マクベス夫人の狡猾さや野望に焦点を当てた作品です。工夫をこらし、マジカルな場面やユーモラスな場面も多く、また照明の効果も素晴らしくて、2時間ほどの間、飽きずに楽しめたとのお言葉を頂きました。

 

2010~2013年  もうひとつのテンペスト

                      ウイリアム・シェイクスピアの「テンペスト」を原作に、マルチニーク島出身の偉大なる詩人にして劇作家、政治家でもあるエメ・セゼールが脚色を加えた作品です。「もうひとつのテンペスト」はシェイクスピア作品に人種問題のひねりを加えた意欲作です。原作により深みを加えて普遍性を感じさせ、才能あふれたセゼールの名に恥じない作品です。
 あらすじ:ミラノのアロンゾ王とお連れたちを乗せた船が嵐に巻き込まれ孤島に流れ着く。島には魔術師のプロスペロと娘のミランダが住んでいた。プロスペロはその昔、アロンゾ王によってミラノから追放されており、魔力で王たちを島に漂流させたのだった。復讐が始まろうとしていた。

                                              

2009年  小泉八雲 神々の国への旅

 横浜開国博Y150の期に上演した作品です。フジセーヌ・フランコフォンのアート・ディレクターであるルイ・ソロ・マルティネルが、日本に帰化した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の残した作品を集め、脚本・演出を担当しました。        
 小泉八雲は来日前、マルチニーク島に2年間滞在して現地の口承文学を収集し、それを「仏領西インドの二年間」として出版しました。マルチニーク島はこの後、火山の噴火により甚大な被害を受けたため、噴火前の実態を知るうえで、大変貴重な資料にもなっています。              
 演劇「神々の国への旅」はマルチニーク島のサトウキビ畑にいる不吉な鳥スクニヤンが村人をだます話や、島の女の子を魅了する青い魚ラブルーの話を紹介しています。また、雪女や耳なし芳一などの昔話も、妻のセツから聞いた話を八雲の言葉で語り、一層魅力を増したものとなっています。            

2007年、2009年 サルサ セーヌのほとりで

 フジセーヌ・フランコフォンのヒット作が「サルサ」です。ジョイス・シャーマン・ブニュエルとジャン・クロード・キャリエール制作の映画「サルサ」を原作としています。演劇ファンのみならず、ダンスが好きな方たちにも来ていただきました。舞台にあふれるミュージックとダンスシーン。演劇を見ながら、つい体を揺らしてリズムをとってしまうような、魅力的な作品です。 
 若きピアニストのレミ。周囲が期待を寄せていた国立音楽学校の発表会の日に、ついに我慢しきれず、大好きな音楽に身を任せてしまう。「サルサ!!」 美しいパリジェンヌのナタリーと恋に落ちるが、ナタリーが思いを寄せているのは、キューバ人を装ったレミだった!?                 さて、二人の恋の行方は・・・                                

  舞台上には生バンドも登場!    

     ビデオ:ボブ・レナス         

2008年   執拗な声のためのデュオ      
   カナダ出身で、女優であると同時に作家のマリーズ・ペルティエの作品です。別離と和解を繰り返しながらも、若いフィリップとキャサリンの関係は続きます。互いを傷つけずに愛し合うことができない男女の葛藤劇です。
   登場人物が三人だけという濃密な時間に、時に圧倒されますが、物語のラストは希望を感じさせる作品です。作者のマリーズ・ペルティエさんは、初来日を果たし明治大学で講演しました。 
 この作品はモントリオール・ジャーナルの文学賞を受賞しています。また今回はケベック・シティ400周年と、フランコフォニー祭の機会に制作されました。フランコフォニーとは、フランス語を話し、理解する人々・国々の共同体をさしますが、近年ではフランス語を通して価値観を共有する概念へと発展してきているようです。                                                                        

                                  2004年    クリストフ王の悲劇

  マルチニーク出身の詩人、政治家、劇作家でもある、エメ・セゼールの作品です。黒人による独立国の確立という、ハイチで起きた史実をもとにしています。     
   黒人奴隷の両親のもとに生まれたクリストフは、1791年のハイチ革命で手柄をあげ、その後将軍にまで昇り詰めます。1811年には北部ハイチで自らをハイチ王国の王と宣言し、宮殿を建設し、近親者たちに貴族の位を与えるなどしました。教育や法整備に努力したにも拘わらず人民からは嫌われ、南部との戦いも続き、最後には自殺を遂げることになります。
   脱植民地化を意図しながら、結局、自身が独裁者となり、国民を苦しめる結果となったクリストフの悲劇を描いています。

                     

フジセーヌ・フランコフォン

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